今回ご紹介する結婚指輪は神戸市のご夫婦の手作りです。奥様の大好きな水引からデザインを考えて出来上がった美しく上品な雰囲気の結婚指輪です。
ご夫婦はご入籍されて2ヶ月が経ち新生活が落ち着いて来たので、念願の結婚指輪を手作りしようとご来店されました。お席にご案内すると奥様が机の上にスマホを置かれたんですが、スマホカバーの中に色とりどりの可愛らしい小さな水引細工が入っていました。「水引、可愛いですね!ご自分で作られたんですか?」とお聞きすると「はい、可愛いでしょ!もっと小さく作るとほら!」と髪に隠れていた耳を見せて下さいました。奥様の耳にはとても小さな水引のピアスがついていました。極小の水引細工を見たのが初めてだったので驚きましたが、そのピアスも奥様のお手製だそうです。
水引とは祝儀袋などの表に用いられる飾り紐のことです。誰でも一度は目にしたり、手にした事もありますよね。奥様は子供の頃に祝儀袋に付いていた水引を見て「なんてカラフルで可愛いの!」とその時から水引の虜になってしまわれたそうです。旦那様が「我が家の箸置きや玄関のプレートや飾りなんかは全て妻の手作りで、最近は近所の人が玄関の飾りを見て注文が来るんで立派な水引アーティストですよ!」とご自分のことの様にお話しして下さいました。そんなお二人ですからデザインは水引から考えたいとの事でした。ですが奥様は「水引が好きなのは私であって主人は違うので水引っぽい感じくらいのがいいんです。ちょっと考えたのを絵に描いて来たので見てもらえますか?」と紙に描いたデザイン画を見せて下さいました。シンプルにアレンジされているけど水引の感じもあって、何よりお洒落で落ち着いたお二人にお似合いだと思いました。「これで作っていきましょう!」デザインは決定しましたし、手作りスタートです!
まずは太めのワックスにマジックペンで全体の形を描いていきます。指輪の幅やラインの角度などのペア感を出す為に奥様が二人分の形を描かれました。ストレートの指輪と違って削るのが少し難しくはなりますが、お二人とも早く削りたそうにされていて「手作り指輪に憧れていたので今からするんだと思うと嬉しくて。」と目を輝かせておられました。ご夫婦揃って手作りがお好きなんだそうです。
荒削りで全体の形が見えてきたらお次は2本の紐が巻いた様にしていく為、マジックペンの下書きを拭き取り中央の紐の境目のラインを描いていきました。細いヤスリを使ってラインをなぞる様に削っていきます。お二人とも真剣な表情で丁寧に進めておられました。思っていた通りに楽しい作業だとお二人ともとても嬉しそうにされていました。ヤスリなどの使い方は旦那様の方が慣れておられて、奥様が苦手な部分は旦那様が補って作っておられました。お手本の様なご夫婦で見ているだけでこちらが癒される感じがしました。
デザイン画とそっくりにワックスが削れ、仕上げに細かい傷を取ったり表面の滑らかさを出す為に最後の磨き作業が始まりました。段々余裕が出てきて、最後はお二人で一緒に鼻歌まじりに磨いておられました。仲良く同時に出来たー!と完成。旦那様はプラチナで、奥様もプラチナで一部分だけピンクゴールドのコーティングをされることになりました。そうすることで奥様の大好きな水引感アップですね!聞くと水引自体に縁結びや魔除けなどの意味があるそうです。それに今回のデザインのイメージは「結び切り」と言って「固く結ばれ離れない様に」の意味があるそうです。結婚指輪にぴったりですね!!
コーティング加工はつけたり外したりする事が出来ますので、旦那様の指輪にもイエローゴールドで一部分だけ奥様のピンクゴールドと色違いにする事が今後も出来ます。加工する期間は指輪をお預かり致しますが気分転換も出来るしお勧めです。
楽しんでご夫婦仲良く手作りして頂けて私も楽しかったです。当工房を選んで来て下さいましてありがとうございました。お二人の指にこの素敵な指輪がいつまでも輝き続けます様に!