流れる様な曲線とそれに沿って散りばめられたダイヤの輝き。婚約指輪との重ねづけを考えてウェーブデザインで結婚指輪を手作りされたのは神戸のご実家に一時帰省されている奥様と指輪作りのためにお休みを取って山形県からお越しくださった旦那様のお二人です。
奥様は2ヶ月前に第一子の元気な男の子を出産され神戸のご実家に帰っておられるそうです。慣れない育児でお疲れかと思ったらミルクをよく飲み、よく寝てくれるママ想いの坊やで出産前とそんなに変わりなく過ごしているのだそう。1ヶ月半ぶりに会う旦那様と今日は結婚指輪の制作に挑戦です。
プロポーズで受け取った旦那様からのエンゲージリングがお気に入りの奥様は結婚指輪との重ねづけを強く希望されていたので、重ねづけし易いデザインのサンプルや写真を見て頂きました。旦那様はシンプルなデザインでないと仕事の邪魔になってしまうとのことで定番とも言える甲丸デザインに決められました。悩んでおられた奥様でしたがウェーブデザインに決定。実際に奥様のエンゲージに合わせてワックスを削れるので重ねづけがし易いし、結婚指輪ひとつで着けていても存在感があるデザインです。お二人はお互いの指輪を交換して制作されました。
「頑張れ〜！失敗しないでよ！」横から声援？を飛ばす奥様はシンプルな甲丸を作るので余裕がありますが、マジックペンでワックスにウェーブラインを描く旦那様には表情からして余裕が全くありません。「私もお手伝いしますからリラックスして作って下さいね。」とお声えお掛けても聞こえていない様な…
削る段階になっても自信なさそうにされていた旦那様でしたが、ヤスリを持って削り出すとすごくお上手！！子供の頃からお父様と鉄道のジオラマをいくつも作ったことがあるそうで、ここへ来て本領発揮です。「柔らかくて削り易いんですね。」話をする余裕も出てきた様でどんどん削って形作っていかれます。甲丸を完成させた奥様が「宝石入れたいなぁ。」と言うと「わかってる。形は好きにしていい？ちょっといい事思いついたから。」そう言って私に「こんな感じは出来ます？」と奥様には見えない様にスマホの画像を見せて下さいました。旦那様の提案でメビウスリングっぽくしていくことになりました。宝石を留める箇所はとっておいて少しずつ斜めに傾斜をつけていきます。ヤスリの扱いにも充分慣れた旦那様は画像を見ながらあっという間に仕上げられました。赤ちゃんを預けたお母様に様子を聞くためにメールでやり取りしていた奥様が顔をあげてびっくりされていました。「すごい、すごい！こんなにいい感じにしてくれたん？ありがとう！めっちゃ嬉しい！！」旦那様も嬉しそうです。宝石はダイヤモンドを5石留めることになりました。
あまりの旦那様の器用さに驚きを隠せない奥様は「何でも出来る人だなぁって思っていたけど、こんなに器用だなんて。彼のDNAが息子にも遺伝してます様に！」と何かに拝んでおられました。お互いの知らない一面を一緒に手作りする事で見つけられる、再発見出来るのも手作りならではの楽しみですね。
奥様の理想のエンゲージと重ねづけが出来る素敵なオリジナル結婚指輪が完成しました。最後に奥様が旦那様のリングの内側に手描きの刻印を入れると仰いました。ダイヤモンドのお礼だそうです。旦那様に見えない様に専用の用紙にメッセージを書かれていました。お互いを思い合い愛情たっぷりの指輪になりました。「すごく楽しくて、久しぶりに良い気分転換になりました。山形に帰ったら宣伝しますね！」と言って下さいました。
クリーニングなどのご依頼は郵送でのやり取りも可能ですので気になったら送って下さい。ピカピカにしてお返し致します。山形県から来て下さった旦那様、育児で大変な時に思い切って来て下さった奥様、お二人のお手伝いが出来て楽しかったです。当工房での結婚指輪のご制作、誠にありがとうございました。
