こちらの結婚指輪は加古川市からお越しくださったご夫婦の手作りです。奥様のお誕生日に合わせて旦那様がサプライズでご予約下さっていたんですよ!
工房のドアから入って来られた奥様はポカンとされていて、旦那様はクスクス笑っておられたのでお尋ねすると「喫茶店でお茶しようって連れて来たので、妻は何のお店か知りません。」と言うことでした。たまにお二人の様にどちらかの方がサプライズでお相手の方とご来店されることがあります。ご夫婦は奥様のお誕生日サプライズでご来店ということでした。
お二人は結婚5年目でお子様もお二人いらっしゃるそうで、この日は旦那様のご実家で見てもらっていると言われていました。「子供がいるとゆっくり作れないから。」「え!!作るって言った?」と奥様がすかさず反応しておられました。一通り当工房のシステムをご説明すると指輪の手作りに納得されたご様子でした。面白そうとかなり乗り気になっておられました。旦那様曰く「長年買ってあげられなかった分、誕生日やし好きに作ってええよ。俺は合わせるから。」と言うことで奥様は手を叩いて「やったー!」と喜んでおられました。
奥様にはどうしても作りたいデザインがあるそうでサンプルリングとしばらく睨めっこをしておられましたが「まさにコレ!!」と波型のねじりデザインを指しておられました。お手に取って着けてみて下さいとお渡しすると「うんうん。間違いないです、これにします!」とデザインは波ねじりに決定です。「エレガントで女性に人気があります。」と言うと、亡くなったお母様のいつも身に着けていたお気に入りの指輪と同じデザインだそうで、指輪は奥様のお姉様が形見で譲り受けたので何だかずっと気になっていたそうです。「自分も腕時計を形見分けしてもらって大切にしていますが、母がいつも肌身離さず着けていたのは指輪だったので。」そう言った理由で、お母様の指輪を思い出しながら極力近い感じで作ることになりました。
制作中の旦那様と奥様はお母様の思い出話をされておられました。とても面倒見の良いお優しい方の様でご病気になられてからも家族皆を気遣っておられたそうです。お話を聞いていると奥様はお母様に似ておられるのではないかと思いました。スタッフにも気を遣って下さっていましたし、物腰が柔らかでお話していると癒される感じがする方でした。
緩い波型に削ってから指輪の厚みを整えてねじりの部分に差し掛かり、いったん休憩を取ることに。そこで奥様はお姉様に連絡を取りスマホにお母様の指輪の写真を送って欲しいとお願いをされていました。しばらくして通知音が鳴り送られて来た画像を見せて下さいました。「ほぼそっくりですね!良い感じです。」と私が言うと「ほんと!お陰様で。」と良い出来にとても喜んでおられました。旦那様はとても器用でお手伝いなしで「めっちゃ楽しいですね。これ趣味にしようかな?」とかなり楽しんで制作されていました。
ねじりの部分も画像を見ながら丁寧に仕上げてお二人の結婚指輪が完成しました。記念撮影をしましょうとカメラを手に取ったら「ちょっと待って下さい!誕生日やし結婚5年目やから妻の指輪にダイヤモンドを5石入れて下さい。出来ます?」「えー、いいの!めちゃくちゃ嬉しい!ありがとう!」何と言うサプライズに次ぐサプライズ!旦那様かっこ良すぎです。ダイヤモンドをねじった部分に留めることになったのですが一つ気になる事が…
画像の指輪はゴールドでした。かなり使い込まれていたのとお写真の光の加減ではっきりとは判らないのですが私はピンクゴールドに見えました。お二人の作られたのは結婚指輪なのでプラチナを選ばれておられたのですがゴールドのニュアンスは入れなくてよかったのかな?と。「ねじりの部分だけピンクゴールドのコーティング加工をしたら、もっとお母様の指輪の雰囲気が出ると思いますが余計なことだったら却下して下さい。」とご提案したらお二人揃って「そうして下さい!」と言われました。プラチナにアクセントでピンクゴールドの色がプラスされ更にゴージャスな指輪が完成しました。旦那様も一緒が良いとダイヤモンド無しの同じ感じにされたんですよ。手作り最高!来て良かった!ととても喜んで下さいました。奥様は何度も何度も旦那様にお礼を言っておられました。
5年越しの結婚指輪が旦那様の気の利いたサプライズで、奥様がずっと気になっておられた大好きなお母様の指輪とお揃いのデザインで、何よりお二人がこんなに喜んで下さったご制作に携われて本当に嬉しかったです!これからご夫婦の左手にはこの素敵な結婚指輪が輝き続けます。どうぞいつまでも末長くお幸せに!
当工房での指輪のご制作をして頂きまして誠にありがとうございました。クリーニングなどで再会できますのを楽しみにしております。