手作りならではの温もりを感じるつちめ模様。こちらの指輪を手作りされたのは遠距離恋愛の末にめでたく
御婚約された、和歌山県からお越しの男性と兵庫県在住の女性のお二人です。お二人は同じ会社の営業所違いで
神戸で初めて出逢われたそうです。仕事ではあまり接点が無かったそうですがお付き合いをするようになって
互いに和歌山県と兵庫県を行き来するようになり、御結婚後は神戸で新生活をスタートするご予定とのこと。
そんなお二人には思い出の場所があり、その風景を結婚指輪に表現したいというご希望でした。
その場所とは男性が大学時代に山岳部でよく訪れた三重県熊野市の「丸山千枚田」。山間部の傾斜面に
階段状に作られた棚田です。とても有名で一年を通して観光スポットになっているそうで、お写真を見せて
頂きましたが四季折々の表情があり心惹かれる風景が広がっていました。この棚田と棚田を潤す水を上手く
表現するために指輪の形はS字ラインで水を、棚田はつちめ模様で表わすことに決定しました。
まずはつちめ模様で棚田を上手く表現できるか練習をして頂きました。しかし、これがなかなか上手く
いかないのです。棚田は一枚一枚が入れ物の様になっているので平面に模様を入れただけでは棚田に見えない
ので、模様の一つ一つを掘り込んでいくことになりました。何度も練習を重ね、いよいよ本番!
強い力でワックスを折ってしまわない様に細心の注意を払って作業を進めました。すると彼女さんが
「丸山千枚田に彼に初めて連れて行ってもらった時、丘の上に立って棚田を眺めていると下から風が吹き
上がって来るんです。その風にあなたはこの人と結婚するんですよって言われた気がしたんです。」と
御結婚を決めたきっかけをお話して下さいました。
なんて素敵なエピソードなんでしょう!これは必ず理想の指輪に仕上げましょう!と全員で気合を入れ直し
ました。そして完成したのが、お二人の思い出がいっぱい詰まった世界で二つとないこの結婚指輪です。
「とても理想に近いです。沢山お手伝い下さって感謝します。」とお二人から嬉しいお言葉を頂きました。
こちらこそ当工房でご制作頂き、本当にありがとうございました。これからはお二人も、そして思い出の
風景もずっと一緒ですね!どうぞ末永くお幸せに…