プロポーズ・・・最近では「女性から男性に指輪を渡して求婚する」なんていうのも増えつつあるそうですが、今回ご紹介する婚約指輪を手作りされたのは高砂市からお越し下さった男性の渾身の作です。
まだ幼い感じが残る面持ちの男性は見た目通りにお若い方でした。「プロポーズというのに憧れていて、渡す指輪にも僕なりの理想があるのですが大丈夫でしょうか？」はい、もちろん大丈夫です！！ワックスを削って作る鋳造法なので例え失敗したとしてもお帰りになるまで何度でもやり直すことも可能です。それに制作出来るデザインは幾億通りにもなります。「どんなデザインがご希望か見せて頂けるものはございますか？」すぐにスマホで写真を見せて下さいました。かなり使い込まれた感じのエンゲージリングでした。聞くと男性のお母様のエンゲージだそうです。「母は結婚指輪の上からいつもこの婚約指輪をつけていて、これはお父さんの真心だから大切にしていると言って日中は毎日つけているんです。子供の頃は全く意味がわからなかったけど、今の自分にはわかるので更に真心を込めたくて手作り指輪を選びました。同じ形で作りたいです。」
男性のお母様指輪はシンプルなデザインでご制作にはなんの問題も無かったので、早速制作に取り掛かりました。金属はプラチナの中でも純度の高いプラチナ950で宝石は王道のダイヤモンドを選ばれました。
男性はご自分のお父様をとても尊敬しておられるようでした。家族のことを1番に考えて行動し、とにかく優しく真面目なお父様なんだそう。そんなお父様に今回のプロポーズの相談をしたところ「婚約指輪は自分のありったけの真心を指輪にして自分自身を受け取って貰うものだと思う」と言われたそうでご自分もお父様の様に真心を送りたいと思ったそうです。
今まであまり深く考えたことが無かったのですが、真心って目には見えない物だから何か形のある物にしてプレゼントするのかも知れませんね。男性は制作中、とても真剣な表情で一つ一つの工程を丁寧に作業しておられました。男性の真心がワックスに込められている瞬間なんだと感じました。1時間15分ほどで完成しました。指輪の内側にご自分とお相手のイニシャルを刻印されました。
「指輪が完成したらシンプルな言葉を添えて、ずっと思い描いているプロポーズをします。成功したら二人で結婚指輪を作りに来るのでその時はまたお願いします！」とお帰りになる時の方が自信に満ち溢れて見えました。男性の理想のプロポーズでしっかりと真心が彼女さんに伝わります様にと祈っております。
この度は当工房での婚約指輪のご制作を誠にありがとうございました。彼女さんもお母様の様にいつも身につけてくれたら最高ですね！次回のご来店心よりお待ちしております。
